湾岸タワマンは値下がりしている? 2026年夏の価格と売出し状況
東京23区と湾岸の価格推移、築年数による価格差、直近の値下げ件数を紹介。金利や新築供給、建築費の動きと合わせて、2026年夏の市況を読みます。
当サイトの2026年9月7日の集計では、直近1週間に56件の値下げがありました。 一方、売出し価格の中央値は1億5,000万円台で、依然として高い水準です。 値下げが増えているのか、相場そのものが下がっているのか。 東京23区の統計と湾岸の成約レポート、当サイトの売出しデータを見ていきます。
レインボーブリッジから見た勝どき・晴海・豊洲のタワーマンション群(2016年12月)。この写真のあと、晴海フラッグやパークタワー勝どきが加わった。写真: xegxef / CC0(当サイトでトリミング/リサイズ)
東京23区の新築価格は10年で約2倍に
東京23区の新築マンションの平均価格は、2015年に6,732万円でした。2025年は1億3,613万円。 10年でおよそ2倍です。同じ10年で、23区の発売戸数は1万8,472戸から8,064戸へ、半分以下に減りました (不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向」年次データ)。
平均価格が上がる一方で、発売戸数は減っています。 2026年の上半期はさらに上がって1億4,249万円になっています (不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向 2026年上半期」)。
中古価格も上昇しています。東日本レインズの集計では、23区の中古マンションの 成約価格(1㎡あたり)は、2026年7月まで75か月連続で前年を上回っています (東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch 2026年7月度」)。 6年以上、一度も前年割れがなかったということです。
ただし、直近1年の動きを月ごとに見ると、様子が変わってきています。
東京カンテイの集計では、23区の中古マンション(70㎡に換算)の売出し価格は、 2025年7月の1億500万円前後から、2026年5月には1億2,800万円台まで上がりました。 1年で2割です。ところが5月をピークに6月・7月は小幅に下がり、 値下げをした売出しの割合は46.7%と、前年同月の36.7%から10ポイント増えました (東京カンテイ「中古マンション価格および各指標の推移」2026年8月24日)。
首都圏全体では、2026年7月の成約件数が前年より8.6%減り、在庫は5.5%増えました(同じレインズの資料)。 価格は高い水準にあるものの、直近では成約件数の減少と在庫の増加が見られます。
湾岸の成約価格は2025年秋から下落との報告
湾岸の仲介会社からは、2025年秋以降の成約価格の下落が報告されています。
湾岸の仲介会社の月次レポートによると、湾岸の成約坪単価は2025年10月をピークに 下がり始め、2026年7月時点で638万円(前月比1.4%減)。 「ほとんどのエリアでざっくり1年ほど前の価格に戻ってきている」と書かれています (FJリアルティ「2026年7月迄の湾岸エリア最新市況分析レポート」2026年8月6日)。 同じレポートでは、募集件数が1,030件に増える一方で成約は57件に減り、 過去2年間に投資や海外の資金が多く入った町や築浅の物件ほど値下がりが目立つ、 逆に東雲のように実需(自分で住む人)に支えられた町は高止まり、という見立てです。
23区全体の統計と湾岸のレポートでは、対象となる物件や集計方法が違います。 単純には比べられませんが、23区全体の上昇率だけで湾岸の市況を判断するのは難しそうです。
築年数による売出し価格の差
当サイトの売出しデータを築年別に集計すると、次のような差があります。
2005年以前に建った棟(晴海のトリトンスクエアや東雲のWコンフォートタワーズなど)は 坪500万円台、2021年以降の棟(晴海フラッグ、パークタワー勝どき、月島と豊海の新しいタワー)は 坪900万円前後です。同じ湾岸でも、築年で1.7倍の差があります。
ただし、これは同じ時点で築年数の違う物件を比べた数字です。 古いマンションが値下がりしたことや、新築が周辺の価格を押し上げたことまでは分かりません。 立地や設備などの違いも含まれるため、築年数だけによる価格差とも言い切れません。
いま竣工前の転売が出ている豊海の新しいタワーは、売出し坪単価の中央値が900万円台から1,000万円台。 2023年に建ったパークタワー勝どきも1,000万円台です。 比較的新しい物件の売出し価格が高いことは分かりますが、その価格で成約するとは限りません。
9月7日の売出し集計:1,297件、直近1週間の値下げは56件
2026年9月7日時点で、当サイトが集計している湾岸7町域(勝どき・月島・晴海・豊洲・有明・ 東雲・豊海)のタワーマンション59棟では、1,297件が売り出されています。
- 売出し価格の中央値は1億5,000万円台。1億円以上が9割
- 坪単価の中央値は718万円。町域では月島・豊海の900万円台から東雲の500万円台まで
- 当サイトの判定では、「適正」が819件(6割強)、「割安」が233件、「割高」が245件
この1週間の動きで目立つのは、値下げ56件に対して値上げが3件という差です。 値下げ幅の中央値は600万円で、価格の5%前後です。 売出し価格が下がった理由や、変更後の価格で成約したかどうかは、この集計では分かりません。 件数に加え、値下げ幅や同じ部屋での価格改定の回数も継続して見ていく必要があります。
金利・新築供給・買い手・建築費の動向
今後の価格を考えるうえでは、住宅ローン金利、新築の供給、買い手の動向、建築費も気になります。 それぞれについて、記事執筆時点の公表資料と報道を紹介します。
住宅ローン金利と購入予算
日本銀行は2026年6月に政策金利を1.0%へ引き上げました。記事執筆時点で、次回の会合は2026年9月17日・18日の予定です (日本銀行 公表予定)。 市場では9月の追加利上げがかなり織り込まれており、8月下旬の時点で「約8割」と報じられました (Bloomberg 2026年8月23日)。
住宅ローンも動きました。三菱UFJ銀行と三井住友銀行は9月から変動金利を0.25%引き上げ、 最優遇の金利はそれぞれ1.195%、1.525%になりました (日本経済新聞 2026年8月31日)。
前回の記事で試算したとおり、 月40万円・35年返済の試算では、金利が1ポイント上がると借入可能額は約2,000万円減ります。 借入額が大きいほど、金利差による返済額の違いも大きくなります。
勝どき・月島・豊海で予定される新築供給
首都圏全体では、新築マンションの発売戸数が減っています。 首都圏の2025年の発売戸数は2万1,962戸で、集計を始めた1973年以来の最少でした (nippon.com 2026年1月28日)。 「新築が少ないから中古は下がらない」という見方の根拠はここにあります。
一方、湾岸には建設中の大規模マンションがあります。再開発の記事で 整理したとおり、工事中のものだけで2026年から2029年にかけて約4,600戸が加わり、 しかも勝どき・月島・豊海の隣り合った3地区に集中します。
晴海フラッグの入居が進んだ晴海では、売出しも多くなっています。 湾岸の売出し1,297件のうち478件、3分の1以上が晴海に集まっています。 選択肢が多い町では、売主は競争相手が多く、買主は比べて選べます。 勝どき・月島・豊海でも新築の完成が続きますが、中古の売出しがどれほど増えるかはまだ分かりません。
居住用と投資用、それぞれの購入動向
購入目的には、自分で住むための購入と、賃貸や売却を見込む投資があります。 前出のFJリアルティは、過去2年間に投資資金や海外からの資金が多く入ったと指摘しています。 ただし、当サイトでは購入者の属性や購入目的を集計していません。
海外からの購入には、日本の金利に加え、為替や母国の景気、制度変更も関わります。 規制については、国土交通省の有識者会議が2026年8月7日に、土地取得の届出の対象を広げ、 利用状況の監視を強める方向の提言をまとめました (国土交通省 報道発表 2026年8月7日)。 外国人だけを対象にした購入規制が決まったわけではありません。
実需の側では、金利そのものより「審査金利」の上昇で借りられる額が減り、 希望の物件が買えなくなるケースが出ている、と専門家が指摘しています (マネーポストWEB 2026年6月12日)。
建築費の上昇と新築マンションの販売状況
建築費も高い水準にあります。 国土交通省の建設工事費デフレーターでは、住宅の建設費は2020年度を100として 2026年5月に127前後。10年前と比べると3割以上高くなっています (国土交通省「建設工事費デフレーター」)。 また、2026年の首都圏の新築供給は 約2万3,000戸と、過去50年で最も少ない水準になる見通しです (REDS 2026年2月18日、不動産経済研究所の予測として)。
一方、新築の販売状況にも変化があります。 2026年上半期の首都圏新築の初月契約率は64.8%で、好調の目安とされる70%を下回りました (前出の不動産経済研究所資料)。建築費が高くても、希望する価格で売れるとは限りません。 新築の販売状況が中古価格にどう影響するかも、今後の確認が必要です。
専門家の見方が分かれる理由
住宅不足や建築費の高さを重視する見方と、成約の鈍化や金利上昇を重視する見方があります。
「まだ上がる、少なくとも下がらない」という見方
- 下がっているのは売出し価格で、成約価格は横ばい。東京は人口も世帯も増えていて住宅が足りない。 在庫のだぶつきが解消されれば、また上向く(マンションソムリエ・稲垣慶州氏。 マネーポストWEB 2026年6月12日)
- 新築の供給が過去50年で最少の水準まで細り、価格を下支えする (REDS 2026年2月18日)
- 建築費の高さが、新築の販売価格を下げにくくする要因になる
「調整が始まっている」という見方
- 2026年5月の23区の中古タワーマンション(70㎡換算)は前月より705万円、3.4%下がり、 23区のうち15区で下落。「調整の兆し」と報じられた (マーキュリー調べ。マイナビニュース 2026年6月29日)
- 湾岸の成約価格は1年前の水準に戻り、成約の回転率は「過去の動きをみても最低水準程度」 (前出のFJリアルティ)
- 金利と審査金利の上昇で、実需の買える額が縮んでいる(前出のマネーポストWEB)
各資料を比べるときは、売出し価格と成約価格のどちらを扱っているか、対象地域と時期も確認してください。 当サイトの値下げ件数は、売出し価格の変更を数えたものです。 実際に取引された価格の動向については、成約データを扱う資料も読む必要があります。
値下げ件数と一緒に見る数字
値下げ件数に加え、同じ部屋の価格変更や掲載期間を見ると、売出し状況の変化を捉えやすくなります。
| 項目 | 確認する内容 | 数字を読むときの注意点 |
|---|---|---|
| 値下げ | 件数、値下げ幅、同じ部屋での改定回数 | 売主の事情や成約価格までは分からない |
| 売出し件数 | 同じ棟で物件が増えているか | 新たな掲載元の追加でも件数は増える |
| 掲載期間 | 長く掲載されている物件が増えているか | 掲載終了は成約したことを意味しない |
| 坪単価の中央値 | 町域ごと、棟ごとの推移 | 売り出される部屋の構成が変わっても動く |
記事執筆時点では、当サイトのデータは約2週間分です。 相場の傾向を判断するには短いため、毎日の集計を続け、売出し一覧・今日の動きと 毎週土曜の定点観測で経過を掲載します。
購入・売却を考えている方へ
購入を考えている方は、金利が上がった場合も含めて月々の返済額を試算してみてください。 売出し一覧の割安順では、当サイトの推定価格より安い売出しを探せますが、 将来の値上がりを保証するものではありません。予算と、実際に住みたい条件の両方で候補を絞ります。
売却を考えている方は、同じ棟の売出し価格と値下げの履歴が参考になります。 棟ページの「この棟の売出し」で確認できます。部屋の条件による違いもあるため、 近隣の成約事例は仲介会社に尋ねてみてください。
住み続ける予定の方は、毎月の支払いに関わる管理費・修繕積立金の変更予定も確認しておきましょう。 相場の動きとは別に、今後の修繕工事や費用について管理組合の資料を読んでおくと役立ちます。
※ 本記事は2026年9月7日時点の公表資料・報道と、当サイトの集計にもとづく整理で、 将来の価格を予想・保証するものではありません。当サイトの相場は売出し価格ベース (成約価格ではありません)で、割安度は統計モデルによる推定です。 金利・制度は変わることがあります。売買の判断はご自身の責任でお願いします。