金利が1%上がると、湾岸タワマンの「買える額」はどう変わるか

コラム 2026-09-03

2026年に入り、住宅ローン金利の上昇がはっきり数字に出てきました。 湾岸のタワーマンションは売出し価格の9割が1億円を超えており、金利の影響を いちばん受けやすい買い物のひとつです。この記事では、いまの金利水準と、 金利が1%動くと「月々の支払い」と「買える額」がどれだけ変わるかを、 当サイトの相場データをもとに整理します。

晴海のタワーマンション(パークタワー晴海) 写真: Beryllium Transistor / CC BY-SA 4.0(当サイトでトリミング/リサイズ)

いまの金利はどのくらいか

日本銀行は2025年12月に政策金利を0.5%から0.75%へ、2026年6月には1.0%へ 引き上げました。7月の会合では据え置きで、次の利上げの時期は市場でも 見方が分かれています。

日銀の政策金利の推移。2024年3月のマイナス金利解除から2026年6月の1.0%まで5段階で上がった

住宅ローン金利は、この動きを追いかける形で上がっています(2026年9月時点・ 各行の公表値と報道ベース)。

種類 2026年9月のおおよその水準
変動金利(新規借入・大手行) 年1.2%前後
10年固定(大手行) 年3.6〜3.8%
フラット35(全期間固定) 年3.4%台

2年前まで「変動なら0.3〜0.4%」が当たり前だったことを思うと、変動金利は 3倍程度、固定金利は2倍以上になっています。金利の正確な数字は必ず借入先の 銀行でご確認ください。

湾岸タワマンの「値段感」

当サイトが集計している湾岸6町域(勝どき・月島・晴海・豊洲・有明・東雲)の タワーマンション58棟では、2026年9月3日時点で約1,200件が売り出されています。

  • 売出し価格の中央値はおよそ1億5,000万円
  • 1億円以上の物件が全体の約9割
  • 坪単価の中央値は、東雲の500万円台から月島の900万円台まで町域で開きがある

湾岸6町域の売出し坪単価の中央値。月島927万円、勝どき794万円、晴海747万円、豊洲730万円、有明629万円、東雲528万円

つまり「借入1億円超・返済35年」が湾岸では標準的な買い方になっており、 金利が0.5%動くだけで家計への影響は小さくありません。

金利が上がると、月々の返済はいくら増えるか

価格1億5,000万円の物件を、頭金1割・借入1億3,500万円・35年・元利均等で 買う場合の試算です(ボーナス返済なし。概算で、実際の条件により変わります)。

金利別の月々の返済額。0.5%で35.0万円、1.0%で38.1万円、1.5%で41.3万円、2.0%で44.7万円、2.5%で48.3万円

金利が1%上がると月々の返済は6〜7万円増えます。35年の総返済額で見ると、 金利0.5%なら約1億4,700万円、1.5%なら約1億7,400万円、2.5%なら約2億300万円。 1%の差が2,500万円以上、ちょうど「もう一部屋分」の差になります。

同じ支払いで「買える額」はどれだけ減るか

見方を変えて、月々の返済を40万円に固定すると、借りられる額はこうなります。

金利別・月40万円で借りられる額。0.5%で約1.54億円、1.5%で約1.31億円、2.5%で約1.12億円

金利が1%上がるごとに、買い手の予算は2,000万円前後ずつ縮みます。 これが「金利が上がると不動産価格に下押し圧力がかかる」と言われる理由です。

それでも湾岸の価格は下がるのか

ただし、金利だけで価格が決まるわけではありません。湾岸には 価格を支える要因も、押し下げる要因もあります。

支える側

  • 都心へ近い割に新しい大規模物件が多く、実需(自分で住む人)の買いが厚い
  • 新築の供給が細く、中古の選択肢が限られる
  • 海外や富裕層など、ローン金利の影響が小さい買い手が一定数いる

押し下げる側

  • 売出し在庫は増えており、成約価格は「踊り場」との市況レポートも出ている
  • ローン上限の圧迫で、実需層の予算が手堅くなっている
  • 変動金利で組んだ既存所有者の返済負担が増え、売りに回る動きが出る可能性

湾岸の仲介会社による月次の市況レポートでは、2026年春の時点で成約件数は 回復しつつも「成約価格は踊り場」と表現されています(FJリアルティ「2026年4月迄の湾岸エリア最新市況分析レポート」)。 一方で、在庫が増えても価格が下がらない構造を指摘する記事もあり (すみかうる「在庫が増えているにもかかわらず、価格が下がらない理由」)、 専門家の間でも見方は割れています。

当サイトのデータでも、割安と判定される売出しは常時200件近くあり、 売主が強気の「チャレンジ価格」と、早く売りたい「値下げ物件」が同じ棟の中に 並んでいるのが今の湾岸です。

当サイトでの見方

当サイトの「割安度」は、同じ棟・同じ条件の売出し相場と比べてどれだけ 安いかを示す指標で、金利の先行きは織り込んでいません。金利局面での 使い方としては、次の2点をおすすめします。

  1. 今日の動きで値下げの頻度を見る。値下げが増える週は、 売主側の予算感が金利に追いついてきたサインです。
  2. いま割安な物件で「かなり割安」に絞る。金利で予算が 縮んだぶんを、相場より安い物件で取り返す考え方です。

金利が上がる局面では「いくらで買えるか」より「月々いくらなら 無理なく払えるか」から逆算するほうが、あとで後悔しにくくなります。


※ 金利・返済額は概算です。実際の金利は借入先・審査・時期で異なります。 当サイトの相場は売出し価格ベース(成約価格ではありません)で、割安度は統計 モデルによる推定です。売買の判断はご自身の責任でお願いします。