湾岸の再開発予定。豊海・月島の新築、築地跡地、臨海地下鉄
2026年9月時点の湾岸の再開発を紹介。完成済みのHARUMI FLAGから、建設中のタワーマンション、築地市場跡地や臨海地下鉄の計画まで、進捗と予定時期をまとめました。
湾岸ではタワーマンションの建設に加え、築地市場跡地の開発や新しい地下鉄の計画も進んでいます。 ただ、完成予定は数年先のものから2040年頃のものまでさまざまです。 この記事では、2026年9月時点の公表資料と報道をもとに、各事業がどこまで進んでいるかを紹介します。
完成済み・工事中・計画段階の事業
| 段階 | 意味 |
|---|---|
| ① 完成 | 建物が建ち、もう使われている |
| ② 工事中 | 着工済み。竣工の予定時期が公表されている |
| ③ 計画公表 | 事業者や基本計画が公表されている。着工前の手続きが残るものもある |
| ④ 構想 | 行政が検討している。着工の時期は未定 |
| ⑤ 報道のみ | 当事者の公式発表がなく、報道や観測にとどまる |
工事中でも完成時期が変わることはあります。構想段階の交通機関については、 入居時に利用できるとは限らないため、現在の通勤手段でも暮らせるかを考えておきたいところです。 主な予定時期を次の年表にまとめました。
この記事で紹介する建設中の住宅は、2020年代に完成する予定です。 築地市場跡地の全体完了は2038年度、臨海地下鉄の開業目標は2040年頃と、さらに先になります。
HARUMI FLAGなど、完成した住宅と施設
大規模な住宅開発の一つが晴海フラッグです。東京2020大会の選手村跡地に建った 5,632戸の街で、2025年9月に最後の街区「SKY DUO」が竣工し、全24棟がそろいました (東急不動産「HARUMI FLAG SKY DUO 竣工」2025年9月19日)。 中央区の資料でも、この晴海地区の再開発は「完了地区」に分類されています。
完成後のHARUMI FLAG(2026年1月)。中央奥が、最後に完成したSKY DUOのツインタワー。写真: Souka Kinmei / CC BY 4.0(当サイトでトリミング/リサイズ)
月島では、グランドシティタワー月島(58階建)が2026年5月に竣工しました。 記事執筆時点では、入居開始は2026年9月下旬の予定です (東京都都市整備局「月島三丁目北地区第一種市街地再開発事業」)。 勝どきでは、パークタワー勝どきのサウス棟とミッド棟が2023年8月に完成しています。
住宅以外では、豊洲市場の場外に「豊洲 千客万来」が2024年2月に開業。 有明では、テレビ朝日の劇場・ホール施設「東京ドリームパーク」が2026年3月27日に開業し (Impress Watch)、 有明親水海浜公園の砂浜と水域が2026年4月に一般開放されました (東京都報道発表 2026年4月23日)。
記事執筆時点では、東京BRTの東京駅への路線は2026年9月16日に運行開始予定です。 晴海フラッグを出て、築地場外市場・東銀座を経由し、東京駅八重洲へ向かう新しいルートです (東京都報道発表 2026年8月28日)。 所要時間は東京駅八重洲まで29分、運賃は大人250円と案内されています (東京BRT公式サイト)。
ただし、当面の本数は1日34便で、時間帯は9時から17時、1時間あたり1〜2便です(同報道発表)。 この運行時間では、朝早い出勤や夜の帰宅には使えません。 日中に東京駅方面へ出かける際の選択肢となりそうです。
建設中のタワーマンションと鉄道延伸
いま工事中の再開発を合わせると、2026年から2029年にかけて約4,600戸が新しく増えます。 晴海フラッグ1つ分(5,632戸)には届きませんが、それに近い量です。
単独でいちばん大きいのは、豊海町の「THE TOYOMI TOWER MARINE&SKY」です。 53階建てのタワー2棟で、2027年3月に工事完了の予定 (東京都都市整備局「豊海地区第一種市街地再開発事業」)。 豊海町は勝どき駅から歩く海沿いの一角で、これまで大規模なタワーがなかった場所です。
建設中のTHE TOYOMI TOWER MARINE&SKY(2026年1月)。手前は中央区立豊海小学校。写真: Souka Kinmei / CC BY 4.0(当サイトでトリミング/リサイズ)
このほか、月島では「セントラルガーデン月島 ザ タワー」(48階建)が2028年6月完了予定です (東京都都市整備局「月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業」)。 勝どきでは、パークタワー勝どきの街区に残っていた最後の1棟(B棟)が2026年4月に着工しました。 竣工は2029年5月の予定と報じられています(健美家。 都の資料では事業全体の完了予定を2028年10月としており、時期の見方に幅があります)。
今回取り上げた新しい住宅は、勝どき・月島・豊海の3地区に集中しています。
交通も工事中のものがあります。有楽町線の豊洲〜住吉延伸(豊住線)は2024年11月に着工しました。 開業の目標は「2030年代半ば」で、具体的な年は公表されていません(東京メトロ)。 羽田空港アクセス線も工事中で、2031年度の開業を目標としています(JR東日本)。
築地市場跡地:基本計画と完成予定
湾岸でいちばん規模の大きい計画が、築地市場の跡地です。 三井不動産を代表企業とする「築地まちづくり株式会社」が事業者に決まり、 2025年8月に基本計画が公表されました (中央区「築地地区まちづくり事業の基本計画策定について」)。
- 約19万㎡の都有地に、超高層7棟を含む9棟
- 中心は、約5万人を収容できる全天候型の大規模集客施設
- 事業費はおよそ9,000億円
- 2026年度に基盤整備に着手、超高層棟は2028年度着工の予定
- 第1期の完成が2032年度、全体の完了は2038年度の見通し
更地になった築地市場跡地(2019年9月)。隅田川をはさんだ対岸が勝どき。2026年9月の時点でも、建物の工事は始まっていない。写真: Zengame / CC BY 2.0(当サイトでトリミング/リサイズ)
記事執筆時点では、都市計画決定はまだ済んでいません。 事業者と基本計画は公表されていますが、着工前の手続きが残っています。 勝どき・月島からも近い場所にある大規模開発ですが、第1期の完成予定は2032年度です。
なお、約5万人という規模と、事業者に読売新聞グループ本社が入っていることから、 「巨人の新しい本拠地になるのでは」という見方がよく語られます。 ただし読売新聞社側は「移転ありき」の計画ではないという立場をとっており、 球団としての正式な発表もありません。 専門家からは「本拠地移転に偏った報道には違和感がある」として、 野球以外にも使う多目的施設として見るべきだという指摘も出ています (JBpress)。 大規模集客施設は基本計画に含まれていますが、巨人の本拠地移転が決まったわけではありません。
このほか、築地二丁目地区の再開発(20階建てのオフィス)は、 2026年7月29日に権利変換計画が認可されました (日鉄興和不動産)。
臨海地下鉄:開業目標は2040年頃
臨海地下鉄は、正式には「都心部・臨海地域地下鉄構想」といいます。東京駅から新銀座・新築地・勝どき・晴海・ 豊洲市場を通って有明・東京ビッグサイトへ至る、約6kmの新しい地下鉄です。
2024年2月に、東京都・鉄道建設運輸施設整備支援機構・東京臨海高速鉄道の3者が 事業計画の検討で合意しました (東京都報道発表 2024年2月2日)。 2026年度の都の予算には、ルートを詳しく詰めるための調査費が計上されています。
ただし、開業の目標は東京都の資料で「2040年頃」、着工は2030年頃の想定です (東京都都市整備局)。 都市計画決定も環境影響評価も、まだ済んでいません。 開業目標までは約14年あるため、それまでに住み替える可能性も含めて考える必要があります。
なお、以前あった「ゆりかもめを勝どき方面へ延ばす」構想とは別の計画です。 この構想は2016年の交通政策審議会の答申で検討の対象から外れており、事実上白紙です。 中央区も2014年に地下鉄新線の誘致へ方針を切り替えています (乗りものニュース、中央区)。
このほか東京都は、ベイエリア全体の長期構想として「東京ベイeSGプロジェクト」を進めています。 こちらは2040年代を見据えた枠組みで、個別の建物の話ではありません。
晴海・有明の空き地:建設計画は未公表
土地の売却や落札は公表されていても、何を建てるのかは発表されていない場所もあります。
晴海二丁目の約1.9万㎡。 かつて晴海フラッグの販売センターがあった空き地です。 太平洋セメントが2026年7月21日に譲渡を議決し、8月26日に引き渡しを完了、 譲渡益はおよそ187億円と発表しています (日経不動産マーケット情報)。 一方、買ったのが三井不動産で、マンション用地としての活用を検討している、という部分は Bloombergの2026年8月27日の報道 によるもので、三井不動産からの正式な発表はありません。 戸数や高さ、建設時期は公表されていません。
有明北2-1街区の約8,900㎡。 住友不動産が2022年にUR都市機構の入札で およそ128億円で落札した土地です(UR都市機構の公表資料)。 落札は公表された事実ですが、そこに何を建てるかは記事執筆時点では公表されていません。
このほか、佃二丁目の再開発計画は2019年に準備組合設立が報じられましたが、 その後の進捗を示す公的な情報が見当たりません。計画が続いているのかどうかも、 外からは判断できない状態です。
晴海に多い中古の売出し
新しい住宅が増えた晴海では、中古の売出しも多くなっています。
当サイトが集計している湾岸6町域のタワーマンション58棟で、 2026年9月4日時点の売出しは1,193件。このうち晴海が429件で、 全体のおよそ3分の1が晴海1町に集まっています。晴海のタワーは13棟で、 棟数でいえば2割ほどしかありません。割安と判定した物件で見ても、 全200件のうち75件が晴海です。
晴海フラッグのタワー2棟(PARK VILLAGEとSUN VILLAGE)だけで、 売出しが128件あるからです。竣工から1年ほどの2棟が、湾岸全体の売り物件の1割を出している計算になります。 この2棟の売出しが、晴海全体の件数を押し上げています。 買い手には比較できる部屋が多く、売り手には同時期に売りに出ている競合物件が多い状況です。
勝どき・月島・豊海でも、2027年から2029年にかけて3,000戸以上が加わる予定です。 月島の売出しは記事執筆時点で45件ですが、新築の完成後に中古の件数がどう変わるかは、 今後の集計で確認していきます。
逆に、供給の予定がない町域もあります。豊洲・有明・東雲は、 今回調べた範囲では、着工済みの新たな大型住宅事業は見当たりませんでした。
主な事業の予定時期
- 2020年代:HARUMI FLAGの完成、東京BRTの東京駅への延伸、豊海・月島・勝どきの住宅建設
- 2030年代:築地市場跡地の開発、有楽町線の豊洲〜住吉延伸
- 2040年頃が目標:臨海地下鉄の開業
- 建設計画が未公表:晴海二丁目と有明北の空き地
物件の説明で再開発の話が出たら、事業名と公表資料、完成予定を聞いてみてください。 検討中の構想なのか、すでに工事が始まっているのかで、入居後の暮らしへの影響も変わります。
当サイトの売出し一覧・今日の動きでは値下げと新着を毎日集計しています。 新しい住宅の完成前後で、近隣の売出し件数や価格がどう変わるかも確認できます。
※ 各事業の内容・時期は、記事中に挙げた2026年9月時点の公表資料と報道にもとづく概算です。 再開発の計画は変更・延期されることがあります。 当サイトの相場は売出し価格ベース(成約価格ではありません)で、割安度は統計モデルによる推定です。 売買の判断はご自身の責任でお願いします。